結論から言ってしまうがそろそろスマホ機種変しようと考えているアイフォンユーザーはアンドロイドへの乗り換えを真剣に考えるべきである。というかリアルに一度は試してみて欲しい、騙されたと思って。
確かにリンゴ製品には特別な魅力がある。それは認めよう。私がこの文書を作成しているのMac book pro である。
しかしこのMac bookに買い替えるまで筆者は生来のWindowsユーザであった。一番最初に買ったPCもWindows2000のデスクトップだったし、その後も買い替えのたびにWiindows PCを選んできた。
Macは選択肢の中にないというか高級品扱いだった。実用機じゃないというか、オサレで高価なガジェットというイメージが強かった。デザインはかっこいいけど高いし、同じ値段ならWindows製品の方が高パフォーマンスなモデル買えるし。
スマホ時代が到来してだいぶ経ってから(白状するとMac BookPro Ratina2015 earlyから)筆者はアップルの洗礼を受けたのである。その後WIndowsのPCは買ってないし使ってないし、次にPCを買い替えるときも余程のことがない限りはMacを選びそうな気がする。
ここまで読んできた奇特な善人様は”ふざけんなよ、人にアンドロイドに乗り換えろとか言っといて、自分はりんごに覚醒かよ(笑)”と思ったかもしれない。まさにおっしゃる通りである。
しかし私がこれまで語ってきたのはPCに関するリンゴ (Apple) VS窓 (Windows) の凄惨な切磋琢磨の歴史であり、それを引き継いだと言えるスマホ戦争についてはまた別の観点から考察しなければならないのではないか。(ちなみに私の携帯はKyouseraのモデル番号KYF37のガラケーである)
スマホとかスマフォとか言える立場ではないのは百も承知だが、いずれ私もスマホの波に飲み込まれガラケーから卒業するときがやってくる。その時、私は何を指針にスマホを選べば良いのだろうか?
そんな個人的問題を解消するために私は真実の悟りを求め古今東西を駆け回った。この記事はその旅で見聞したとある女と男の物語である。
初めてのスマホデビュー! 中学校の入学祝いがiPhone 5だった件
アイナ (仮名) は2000年のミレニアムイヤー生まれの典型的な現代っ子だ。都内の中堅大学に通う20歳。明るく活発でその時が楽しければそれでよし! 理性より感性が先にたつ。
アイナが初めてiPhoneを手にしたのは私立の中高一貫高に合格した2013年の2月だった。受験を控えた半年前に、たまたま通りかかった銀座のAppleショップで目にしたiPhoneに一目惚れした彼女は、合格祝いのリクエストを両親に硬く約束させたのだった。
そしてアイナは見事志望校へ合格! 桜サクサク、アイナのスマホ人生の輝かしい始まりである。
受験のご褒美として手に入れたiPhone 5に彼女は熱烈な愛情を注いだ。それ以来アイナのスマホ人生はリンゴー色となった。初めてのiPhone5を経て、次の年の誕生日にはiPhone 6 Plus、高校へ進学した年にはiPhone7 Plusへ。まさに”3つ子の魂百まで”である。
転機が訪れたのは2018年。他校との合コン、大学部のサークル仮加入、数年来応援してきたお気に入りアイドルグループの初コンサート参加と、ハッピーなイベントが目白押しだったアイナに、人生最大の悲劇が訪れたのだ。
なんと待ちに待ってやっと手に入れたシリーズ最新作のiPhone 8 plusを、開封3日で紛失してしまったのだ。しかも2018年4月から同年9月までの半年間のみ販売されたプレミアム機種のPRODUCT REDカラーを!
慌てて心当たりを探し回り警察に紛失届も出し、最後の手段と同色の同じモデルを再び購入しようと手を尽くしたアイナの奮闘 (この世に誕生してから一番の)が実を結ぶことはなかった。悲嘆にくれるアイナを見かねた父親がiPhone 8 plusのゴールドを買ってくれたが、ショックが大きすぎて何とか踏ん切りをつけるのに1年はかかった。
アイナにとってiPhoneは実用器具としての情報端末ではなかった。初めて手にして以来ずっと、自らの一部であり分身でありアイディンティティーであり、アイナという女の子を表現する特別なアクセサリーだった。そのスペシャルな存在に、たまたま通信機能がついていたというだけで、もはや「iPhone」 なしの自分などアイナには想像もできなかった。
ともかく最悪な悲劇に見舞われはしたが、2019年9月20日にiPhone 11が発売され、この1年の苦難をを耐え忍んできたアイナの心は再び大きく浮上した。
選んだカラーは一番人気のミントグリーン、実物が手元に届いた時の多幸感は饒舌に尽くし難いものがあった。
しかし2度あることは3度ある。ハイテンションで新iPhoneをいじりながら駅の階段を降りていたところ、反対側から上がってきたサラリーマンらしき男性とぶつかり、手にしていたiPhoneを落としてしまったのだ。男性はよほど急いでいたらしく勢いよくぶつかったため、iPhoneはアイナの手元から離れたのち、ゆっくりと(少なくとも彼女の目にはそう見えた)宙に舞って、ホームに叩きつけられた。
事態を飲み込めず真っ白の頭で帰宅したアイナに変わって、父親が販売元のapple社に修理を依頼したが、応対したスタッフによると
「修繕できるか分からないが、可能であれば最低でも修繕期間は2週間、故障原因がユーザー側の過失に当たるので1年間の品質補償は適用されず、オプションの保険サービスにも申し込んでいないため、修理代金は77480円」
端末の代金は86184円だったので、合わせて176757円。かなり良いスペックのノートPCが買える値段だ。しかし号泣して部屋に閉じこもるアイナに、昨年の憔悴ぶりを重ねて憂慮した両親は、正規のAppleストアへ修理を依頼したのだった。
散々な2019年も終わりに近づいたクリスマス前、景気づけにと友人同士を介して豪勢な飲み会が開かれた。そこで彼女はそれまでのスマホ経歴に転機をもたらす予想外の人物に出会うことになる。
くじ引きで決められた座席順で、アイナは一番端に座ることになった。一番端っこなので、唯一のお隣はタツヤという他校に通う一学年上級生の男子に決まった。
タツヤは福島から上京し都内の単科大学に通う理系学生だ。
東北出身の訥々とした話ぶりに加えて女性に縁のない理系学生ということで、彼はアイナが出会ってきた男子とは明らかに違っていた。イケメンという訳ではないが不快感をもたらすような外見でもなく、相手としてはまあ合格ラインと言えた。
しかし都会育ちで陽キャのアイナと、地方出身で大人しく地味なタツヤとではうまく会話が噛み合わない。タツヤが自分から話題をふって来ることはないので、どうしても一方的に喋り続けるアイナと聞き役に徹するタツヤという会話スタイルになってしまう。
決して言い返さないタツヤの性格も相まって、アイナの話は不満だらけの今年の中でも最大級の悲劇とショックの話に集中した。
酒も入って雄弁になったことで、アイナは止まることなく嘆き続ける。怒ったり泣いたりを繰り返しながら、何度も運命への恨みつらみを繰り返すアイナに、タツヤは反論もせず辛抱強く付き合った。
酔っ払いの愚痴を真剣に聞き、アイナの感情や心に寄り添い、最後まで真摯に相手をしてくれた。
「Appleファンは美意識や強い愛着心を持ってる人たちが多いから、その分ショックも大きいんだろうね。」
もちろん金銭的な痛手もあるだろうけど... とタツヤからそのようなことをボソリと言われてアイナはポカンとした。iPhoneは愛し続けてきたけれど” Appleファン”という言葉は初めて聞いたからだ。
(アイナ) 「私ってAppleファンなの?」
(タツヤ) 「え?でもiPhoneフリークなんだよね?」
(アイナ) 「iPhone大好きだけど...」
アイナが持っているApple製品はiPhoneしかない。Appleという会社がiPhoneを作っている程度の知識はあったが、それ以上のことを意識したことはなかった。
ちなみにアイナはPCを持っていない。学校の課題はもちろん何でもiPhoneで済ませてきたし、どうしても必要な時は学校の図書館に併設してあるデスクトップPCを利用するか、父親のノートPCを借りていた。機種はWindows7搭載のLet'sNoteだったが、そんなことを気にしたことも一度すらない。
「Appleは製品同士の連携やデータのやりとりが便利だから、Macファンなんだと思ってたよ。」
タツヤにそう言われてアイナは彼の携帯が気になり始めた。問いかけるとタツヤは気兼ねなくジーンズのポケットに入っていたスマホを見せてくれた。
タツヤが取り出したのはGoogleから昨年発売されたPixl 3 XL (128GB)。OSはandroid 9でカラーはジャストブラック。お財布ケータイに対応し充電は無線式、カメラをメインとしたビジュアライズパーツや機能上のベンチマークはライバルの新興メーカーに及ばないが、取り込んだ画像を自社独自の情報処理技術で画像データ化したスナップは、Google自慢のハイレベルなソフトウェア技術をあますところなく追求して高画質・高クォリティーを実現しようとしている。ハードウェアで勝負する新興国と、ソフトウェアバリューの対決といった感じの面白い機種だ。
「どちらの企業に肩入れするわけじゃないし、アイナさんみたいに大ファンで応援してる会社やメーカーがあるわけでもないから... ただこの構図は面白いなと思って...。」
アイナにはタツヤが途切れ途切れに話してくれたことの1/3も分からなかったが、それでも全く気にならなかった。
(彼は私の話を真剣に聞いてくれていて自分の話も真剣にしてくれた。だから分からないことがあっても知らないことばかりでも、そのことで馬鹿にしたりマンティングして悦に入ったりする、今まで私が会ってきた多くの男たちなんか、彼との出会いに比べればなんてちっぽけな存在だろう。まるで初めてiPhoneを見つけた時みたい)
アイナがタツヤの話の中で理解できたことは、それで十分だった。
合コンが開かれたのが2019年12月20日で、アイナの誕生日が23日だと知ったタツヤは彼女に「他のスマホも見に行ってみようよ」と誘ってきた。アイナが落としてしまったiPhoneは未だ修理から戻っていなかったので、彼女は修理を依頼した際に銀座のappleストアが貸し出してくれた代替機を一時的に使用していた。何世代か前に発売された人気の劣る機種で、カラーも選べなかった。アイナにタツヤの誘いを迷う理由は一つもなかった。
クリスマスイブを明日に控えた新宿の大型電気店は、多くの人混みでごった返している。まるでコロナ騒動なんて存在しなかったみたいだ。
iPhoneに関しては、アイナはタツヤより詳しかったし、最新機種も手に入れたばかりだったので、二人はandroid端末を陳列しているブースに並んだ。特設ケースの前まで近づくと、アイナは展示されている実機を不思議な感情で眺めた。
androidスマホはiPhoneの様に製造と販売がapple一社に限定されていないため、一見しただけで、様々なデザインやカラーのスマホを、様々なメーカーが競って販売していることがアイナにも理解できた。展示されているスマホにはアイナが知らないメーカーも揃っている。
タツヤによると近年、韓国のsumusungや中国のHAUEI、OPPOなど安くて、しかも性能も遜色ないスマホが全世界で勢いを増していて、日本でも人気なのだという。メーカーとしては日本製のスマホは完全にマイナー製品となってしまっているとタツヤに聞いて、アイナは驚いた。
色とりどりのandroidスマホを眺めながら、アイナはこれまでの自分が以下に小さな世界を見ていたか思索に耽った。展示されているスマホを一つ一つ手に取りながら、タツヤの説明を聞いていたアイナは、ふと一つの端末の前で足を止めた。
(タツヤ) 「それ気になるの?」
(アイナ) 「うん... なんかすごくカワいい。これどこのスマホだろ?」
アイナが手にしたのは「SHARPオリジナル」の「AQUOS sense3 SHV45」
展示されていたのは優しいパステル調のソフトピンク。他にも4色のカラーバリエーションがあり、アイナはライトカッパーも気になった。
店員さんが奥からアイナが気になっていたカラーの同機種を出してきて、機能など一通りの説明をしてくれた。大きさも女性の手に持ちやすい幅70mm、アイナの手にもしっくりハマる。全体的に曲線を多用したデザインで、柔らかさや女性らしさを感じる。
今シリーズに発売された中ではミドルエンドに当たる製品だというが、デュアルカメラで画質もよく、顔認証・指紋認証どちらにも対応しているという。バッテリーの持ちも良く、今季のハイエンド機種と比べても遜色ないレベルだという。
これぐらい揃ってるスマホなら10万円はくだらないだろうとアイナは思った。
「こちらの機種は一括ですと36720円ですね。デザインもいいし機能も十分ストレスフリーで利用できるレベルをクリアしてますし、お手頃価格なので人気がありますよ。」
アイナは驚愕した。今日一日でこれまでの10年近くに渡る自分の世界が全て崩れ落ちてしまったようだった。なのに不思議と清々しく晴々しい。新たな好奇心と活力がアイナの心を満たし始めていた。
とりあえずその日は、購入を検討するということで一度引き上げることになった。タツヤが二人並んで歩く地面のアスファルトを見つめながらボソリと
「誕生日ってことで... つまり... せっかく気に入ったんだし...」
自分がプレゼントするという含みを持たせてつぶやいた。アイナは笑顔になった。また新しい世界が開けた気がした。
「そだね......」
短い沈黙の後にアイナは答えた。
「私とクリスマスデートしてくれるなら考えてもいいかな?あ、あとお正月の初詣も!」
こうしてiPhone少女はandroidという新たな大陸を見つけ、上陸することに成功したのだった。